これから始める皆さんの為に選び方について、管楽器技術者から一言。

『クラリネット』

雅で厳かな落ち着きを感じるクラリネットですね。

黒い管体でキラッと銀色のキイがシブいんですが、黒い管体がミソ。
この管体はグラナディラと言う非常に堅い木材です。
木材と金属のハイブリッドなので注意点が...。
木材＆吹奏ってところで木がふやける（膨らむ）トラブルが多いんです。
それは完全に乾いた状態の木材に水分が付くと...。

水分吸い込みまくりですよね。

木が水分を含むと必然的に膨らみます。
それが、内部も外部も同時に膨らもうとすれば問題は少ないですけど、大体は内部だけ膨張し、外部が普通のままなので...

［パキッ］管体割れ発生。

割れてそのまま放置すると息漏れはもちろんの事、どんどん広がりますし割れ癖が付いてしまいます。
いざ修正したとしても割れるチカラに負けちゃう様になっちゃうんです。

最初が肝心。

購入直後の楽器や数年間 未使用だった楽器などは乾ききっています。
徐々にユーザー様の使用する環境に慣れさせて行かなければならないのです。

・1〜2ヶ月は練習中こまめに(5〜10分ごと)スワブを通して水分を取る。
・その後4ヶ月ほどはベルから雫が垂れる前を見計らってスワブを通す。
（垂れてくる時間を見極める）
　　期間はユーザー様の吐く息に含まれる水分量や体温などで変化しますので状況をみて延長が必要な場合も有ります。
・普段閉じているタンポを開けて覗き込み、水の膜が張っていたらペーパーなどで取る。
・もちろん演奏後の水分は入念に取って保管して頂きたいですが、乾燥剤などで強制的に乾燥させてしまうと、逆効果な事もあるので、あくまで自然に。逆らわない様に。

特に注意してほしいのが、ジョイントの凹んだ部分。

木材は根っこから葉っぱへ水を吸い上げる小さな管が通っていますので、内壁が濡れているよりジョイントの凹みの部分のカドに溜まったままの水分は強く影響しますので、スワブと別にガーゼかクロスで水分を取ってください。

なぜ、スワブではダメなのか？

ジョイント部分はコルクグリスが付いています。このグリスがスワブに付くと汚れも増えますし、管体内壁にグリスを塗り広げてしまいます。内壁には様々な加工がされており、特に上級クラスの楽器は『アンダーカット』という音孔の最後の部分が円錐状になっていて、グリスがココに付くとホコリを吸い寄せてしまいアンダーカット無しのクラスと同じ楽器に...。折角の良い楽器をわざわざランクダウンさせたくないですよね？

このように細心の注意を払って自分と合う様に育てる繊細な楽器なんです。

だ・か・ら・こ・そ！

見えない所に気を使って作られたちゃんとした楽器をお勧めします。

フルート編でも書きましたが精度。

キイを保持してる部分に必要以上のガタ付きが有ったら「ちゃんと」回転しないので、タンポがちゃんとに閉まってくれません。「開いて閉まる」だけでは無いんです。

それと、内部形状で音色などの調整をしていますが、並べて比べてもわかりにくいほど細かい差で変わりますし、音孔を形作っている部分も見て比べられないのですが、非常に細かく注意して作られているのです。

「安く作ろう」→「コスト下げよう」→「手間を省こう」→「見えない所はパス」

...と作られた楽器はおざなりな事がほとんどなのが現実です。
こういった事をちゃんとしようと修理すると結果的に購入額にプラス。
ちゃんとした楽器を超える額になる事がほとんどです。

そこでオススメするクラリネットの2大巨頭。

「ビュッフェクランポン」、「ヤマハ」。

地域の人気という意味で削ぎ落させて貰いましたが、もちろんセルマーも良い楽器です。

これらのブランドの精度や人気は折り紙付きですがその違いはと言うと...

●クランポン...全世界的に「クラリネットと言えばクランポン。」と代名詞中の代名詞。
「音大指向ならR-13ね。」と型番指定で指定があるほど。
音色のバリエーションに合わせて広がったラインナップが更に王者を固める。

●ヤマハ...20年以上前からクラリネットの改革を続けてきたヤマハ。
クラリネット独特な音域ごとに変わってしまう音色や音程の均一性、響きへの追求。
それに伴うマイナーチェンジ、フルモデルチェンジを繰り返す真面目さ。

「好み」で選んでも問題ないです。正直言うとwww

でも、バンドの方向性とか真剣に考えている指導者の場合はこだわってモデルをそろえたりします。

「...で、実際どれを選ぶの？」

ですよね。

特に中高生へのオススメは。

初中級の中では...
クランポンE-13(SP),C-13(SP)、ヤマハ YCL-650,YCL-851。

中上級では...
クランポン R-13(SP),RC(SP)、ヤマハ YCL-853Ⅱ,YCL-853ⅡV。

上級だと...
クランポン Festival(SP)、ヤマハ YCL-SEVMaster。

正直言って中高生の上達の早さはものすごい勢いなので、一つ上で選んで頂いた方が将来的にも安心です。

メリット・デメリットとして超個人的なコメントですが...

●クランポン
メリット：ネームバリューだけではない音質・品質への定評。
デメリット：海外ブランド特有のイイ意味でのバラ付き。（個性溢れるとも言う）

●ヤマハ
メリット：低価格帯から上級設計を採用する優しさ。
デメリット：個性あるって言うほどの飛び抜け感まで行けない真面目さw

ま、極論は「弘法筆を択ばず」なんですけどね。
最低限の筆であればなんでも。って事です。最低限ってトコがミソですw

つらつらと駄文を書いてしまいましたが、ワタクシは皆さんと皆さんの親御さんの味方です。
ご質問ご相談はお気軽にどうぞw

ぜひ、6月の3(土）、4（日）日の「すみやグッディ沼津店 管楽器スーパーバーゲン」にお越し下さい。
試奏はもちろん、メーカー担当者もいますので質問などもメモしてご来店ください。

スタッフ一同お持ちしております。

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次回、細く長さが随一のあのパート。
一度は「ぱぉーん」とやってしまうアレw

そう「トロンボーン」

です。お楽しみに！？W

第一弾フルート編はこちらをクリック。
第二弾トランペット編はこちらをクリック。

そして毎週日曜日はリペアデイ開催中！

今月28日は富士店フェアの為、沼津店は新人の「加藤」が代行いたします。
お手柔らかにお願いしますねw

6月は3日、4日の管楽器スーパーバーゲン両日と11日、18日、25日です！
13:00～18:00でお待ちしています！

担当：管技術・矢辺

【音楽教室・英語教室・カルチャースクール・楽器販売・修理・練習スタジオ】
●すみやグッディ沼津店●
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営業時間：10:00～20:00／第2第3水曜 定休日
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